【樹種事典】愛用のバイブルと、木工ロクロから見る「樹種」の深遠な世界

木工を続けていると「この木はどんな表情を見せてくれるのだろう」「旋盤で挽いたときの刃の当たりや匂いはどうだろう」と、新しい木材に出会うたびに胸が躍ります。
今回は、私が制作の傍ら何度もページをめくっている、愛用のバイブル的一冊をご紹介します。
新木場の「もくもく」に木材の仕入れに行った際、偶然見つけて思わず手に取った『【原色】木材加工面がわかる樹種事典』(河村寿昌・西川栄明 著/誠文堂新光社)です。
全289種を「茶筒」にして見せるという圧巻のアートと技術
この書籍の凄みは、紹介されているほぼすべて(289種)の木材を使い、実際に日本伝統の木工ロクロで「茶筒」を挽いて製作し、その加工面を写真で掲載している点にあります。
ただの図鑑として見ているだけでも写真集やアートとして美しいのですが、木工家にとって真の価値はその「リアルな実践データ」にあります。
- 削り手ならではの実感のこもった情報 ロクロで挽いた際の加工感、刃の入りやすさ、硬さ、色合い、削った瞬間に立ち上る独特の匂い、仕上げた際の木目の出方など、実際に刃物を当てた者にしか書けない生々しい感覚が詳しく解説されています。
- 圧倒的な国産材のバリエーション 一般的な銘木だけでなく、豊富な国産材の種類が網羅されており、見ているだけで「次はこの樹種で削ってみたい」と創作意欲が刺激されます。
- 深い知識が得られる貴重なコラム 例えば「ローズウッドとは何を指すのか」といった、樹種名の定義や歴史的背景に踏み込んだコラムも非常に読み応えがあり、知識の引き出しを増やしてくれます。